通頒でも、コピー本はいいぞ(前編)
※当記事は2020年9月6日にnoteに掲載した記事を再掲したものです。
はじめに
去る8/2、トリオキニ主催「エアオキニ」に参加し、新作を頒布しました。方法は、本文全文Web公開の上、コピー本とグッズ(作品イメージクリアファイル)を通頒という形を取りました。いろんなことを考えて選んだ選択肢でしたが、発行者としても満足感があり、またご利用頂いた方にも喜んで頂けたので、レポの形にして残したいと思います。
こんな悩みをお持ちの方におすすめ!(私がまさにこんな感じでした)
・印刷所にお願いするのはハードルが高いけどコピー本なら作れそう、作りたい
・だけどあんまり器用じゃないから凝った表紙/本文を作るのが難しい
・通頒の手間や送料を考慮しても欲しいと思ってもらえるコピー本って……?
1.背景
時は遡り、6月頃。エアイベントに申し込み、意気揚々と新刊の構想を練っていました。だいたい考えていたのはこんなところでした。
・エアイベントに出ることにしたぞ!
・エアと言ってもイベント、新刊を出したいぞ!
・せっかくだから印刷所にお金を落としたいぞ
・でも私事で忙しくしていて印刷所にお願いして製本するほどの分量は書けないぞ
・自分で製本するとしたらコピー本という選択肢になるのかな
・しかし他の作家さんのコピー本はコピー本と言いながら表紙や本文を凝っていらしてすごいなあ
・本当にコピー用紙を綴じただけのコピー本を頒布するならネットプリントって選択肢もあるな……
※ネットプリントで折本や小冊子を頒布しよう!も今後記事にしたいと考えています
上記を解決出来る方法がないかな〜と考えた結果、今回は以下の取り組みを行うことにしました。
課題①諸事情からコピー本を頒布したい。しかし、印刷所にもどうにかお金を落としたい。
⇨印刷所の「表紙だけ印刷」プランを利用し、表紙だけ発注する。
課題②通頒のお手間に応えられるものを頒布したい。しかし、凝った表紙/本文を実現できるだけの力(デザインセンスや体力)に乏しい。
⇨コピー本に加えて、製作ハードルが高くないグッズ(今回はクリアファイル)を頒布する。
以下の章では、今回製作したコピー本・作業環境の概要、コピー本製作編(印刷・製本)、グッズ製作編とご紹介します。
なお、私は上記のように考えましたが、どのような装丁であっても本を頒布したい!と考え、それを欲しい!と思われる方がいればサークル活動は成り立つと思っています。コピー本は印刷のハードルが低く物質化の第一歩としてもってこいだと思います。
2.製作したコピー本・作業環境の概要
今回製作したコピー本や作業環境の概要は以下の通りです。
<コピー本について>
【概要】A5・2段組・本文20ページ/表紙4ページ
【字数】13,796字
【設定】コピー本ということもあり、職業をパロディさせたり、自由に設定
<作業環境について>
【使用ツール】iPad(無印・第6世代)、Bluetoothキーボード
【使用アプリ】縦式(本文・印刷データ作成)、表紙(メディバンペイント)
3.コピー本製作編
<表紙印刷>
まずは今回の課題①「コピー本でも印刷所に金を落としたい」を解決する、印刷所の「表紙だけ印刷」プランをご紹介します。
「表紙だけ印刷」プランを設定している印刷所はいくつかあります。検索しても出てきますし、以下のような先人のまとめを参照させて頂くのもよいでしょう。
私はオレンジ工房さんを利用させて頂きました。初めての利用でしたが、データ入稿の際の注意書きは充実していたし、綺麗に印刷の上、期日より早く納品頂きました。大満足です。
なお、断裁は「四辺断裁(標準)」「天地のみ」「断裁なし」と選べましたが、私のように化粧断ちなんて格好いいことはできない、本文用紙を挟んだらすぐパチンとしたい、という方は「四辺断裁」を選びましょう。
もちろん印刷所に依頼するので綺麗に印刷してもらえるのですが、表面加工をしてもらえるとぐっとゴージャスになる気がします。かつて文庫本で同人誌を作った時にやってもらったのと同じ、マットPP加工してもらいました。すべすべつやつやで最高です。
<本文印刷>
表紙で張り切った分、本文はシンプルに(大人しく)コピー用紙に印刷することにしました。利用したのは安定・安心のキンコーズさんです。
キンコーズさんはセルフコピー機を使ったコピー本の製本の仕方を紹介する動画まで作ってくれている。どこまで同人プレイヤーに優しくすれば気が済むんだ……!
www.kinkos.co.jp
面付け(束ねた時にページ順になるように印刷データを加工する)も不要、印刷後の二つ折り・ホチキスまで機械がやってくれます。文明の利器、最高。思っていた五十倍楽なので気軽にコピー本作って欲しい。なお、今回は表紙を別で発注しているのでコピー機には折りまでお願いしました。
おそらく値段で比較するとキンコーズさんより安くセルフコピーサービスを提供してくれるお店はあると思います。しかし、同人への理解度や接客・フォローはキンコーズさんはピカイチです。利用した店舗では、大量印刷した成果を持ち帰るに当たっていろいろお気遣い頂き、大変有難かったです。
<製本>
さあ、印刷が終わったら残るは製本作業(ホチキス留め)のみ!今回はページ数も多くないのでシンプルに中綴じ(ページの真ん中にホチキスを留める製本方法)にしていきます。
使用したのは天下のダイソーさんの「まわるホッチキス」です。
実物を手に取るまでどこがまわるのかいまいち分からなかったのですが、ホチキスの芯を打ち込む部分(?)が可動式で、360度好きな角度にくるくる回すことができます。詳細はぜひ上記記事を読んでみてください。
このためにAmazonで4,000円以上する中綴じホチキスを買うべきか……!?と真剣に悩みましたが、求めていたクオリティは200円(税別)で実現することが出来ました。そう、ダイソーならね。
ただし、芯だけはホッチキスに付属しているものではなく一般に文房具屋さんなどで購入できるものに入れ替えることを推奨します。
本文は印刷時にコピー機くんが折ってくれたので、表紙に挟むだけでOK。
しかし表紙はアート系180kg(ちょっと厚め)を使用しているので、そのまま折るだけだと折り目が汚くなってしまいます。
そこで折り目として、ちょっと傷を付ける必要があります。本当にちょっとでいいので、長さを測ってちょうど真ん中のラインに、シャーペンの芯を出していない先端で傷を付けました。30cm程度の長さの定規があると、ラインに沿わせて折ることができ、やりやすかったです。
作業台は古い勉強机ですがアルコール消毒を徹底しております。
なお、「表紙だけ印刷」プランのオプションとして折り目をつけてくれる印刷所もありました。上手くできるか不安だな、面倒だな、と思われる方はそちらを利用してもいいかと思います。
あとは二つ折りにした表紙と本文を重ね合わせ、ホチキスをくるっと回して挟み込みます。
A5サイズの場合、ホチキスの一番奥まで押し込めばバランス良く、上下でホチキス位置も揃えることができます。あとは精神を統一してパチンといくだけ!
こんな感じでくるっと回るんですよ。感動。
一冊ずつ地道に、丁寧に製本しましたが、結果として結構失敗しました。
失敗例①表紙を綺麗に折れない
⇨表紙が思ったより固くて上手く折れないケースが多々発生。しっかり折り目をつけてから折ろう。
失敗例②ホチキス位置のズレ
⇨心持ち裏表紙寄りにホチキスすると見栄えが綺麗なので工夫できるといいポイントですが、そのせいでホチキスが中心からずれてしまう本末転倒な結果に……。このレベルの不器用さんは大人しく真ん中を狙ってホチキスするのが無難です。
デデーーン!!!
印刷所とコピー機とダイソー(ホチキス)の頑張りでそれらしいコピー本がちゃんと出来たぞ!!!
後編(記事作成中)では、コピー本頒布編、おまけとしてグッズ製作編をご紹介します。